診療内容

脳神経外科とは

頭痛から脳梗塞まで、脳と神経に関わる病気を診療します。

脳神経外科は特殊な分野と考えられがちですが、日常よくみられる頭痛、めまい、物忘れや、頭部外傷、脳梗塞、脳出血の他に、腰痛や手足のしびれなど脳や神経にかかわるすべての病気を対象とし、手術を必要とする病気だけを診るのではありません。
代表的な病気をいくつかご紹介しましょう。

頭痛

「頭痛」をあきらめないで、ご相談ください。

図1 頭痛で発症した悪性脳腫瘍
(42歳男性、MRI)

頭痛には緊張型頭痛、片頭痛、群発性頭痛、大後頭神経痛などいろいろなタイプがあります。近年、片頭痛に対する特効薬が開発され、頭痛は「治せる病気」として注目されるようになりました。「頭痛をあきらめないで」、日頃から頭痛でお悩みの方は我慢せずにぜひ御相談下さい。

多くの人が経験する頭痛、その中に命にかかわる怖い頭痛があります。単なる頭痛と思ったら、実はくも膜下出血、脳出血や脳腫瘍 (図1) による頭痛であることがしばしばあります。「いつもと違う!」突然の激しい頭痛で発症するくも膜下出血については下記を参照ください。

くも膜下出血

日本は欧米と比べるとの2~3倍の発症率です。

図2 増大したため手術を行った
未破裂脳脈瘤(78歳男性、術前3DCT)

脳は硬膜、くも膜、軟膜で包まれており、くも膜と軟膜の間のくも膜下腔脳脊髄液で満たされており、たくさんの血管が走っています。
くも膜下腔の動脈の一部が膨らんだものが動脈瘤、これが破裂して出血するとくも膜下出血です。破裂していない動脈瘤が頭痛やめまいの検査で偶然発見されることがあり、これが未破裂脳動脈瘤です (図2)。

脳ドックでしばしば発見され、成人で数パーセントに認められます。未破裂脳動脈瘤の出血率は年0.5-1%で、喫煙者や高血圧、くも膜下出血の家族歴のある者で出血しやすいです。

くも膜下出血の頻度は、日本人では人口10万に対して1年間10-20人で、欧米の2-3倍です。突然の激しい頭痛や嘔吐で発症し、ときに意識障害や片麻痺が見られます。前駆症状として、「いつもと違う頭痛」が続いたり、眼の奥の痛みに加え、物が二重に見えたり(複視)、片方の瞼が下がったりします(眼瞼下垂)。動脈瘤が増大して、破裂寸前である警告サインであり、急いで脳神経外科にかからなくてはいけません。一旦出血すると再出血しやすく、2週間以内に20%が再出血します。出血後に血管が細くなる脳血管れん縮により脳梗塞をきたし、重篤な後遺症を残したり、死亡したりします。出血1-2ヵ月後に正常圧水頭症を合併し(10-37%)、歩行障害、認知障害や尿失禁が見られることもあります。しかし、これは髄液短絡術で改善が期待できます(後述)。

くも膜下出血の治療

治療は早期に再出血を防ぐことであり、以下の2つの方法があります。

  • 開頭による脳動脈瘤クリッピング術

    1970年代から行われ、顕微鏡下で脳動脈瘤の頚部(つけ根)を金属製のクリップではさむ手術で、最も確実です。

  • 開頭を要しない血管内手術

    1990年代から行われるようになり、コイルを脳動脈瘤内にカテーテルで導き、動脈瘤を塞栓する方法です。開頭はしなくて済むが、動脈瘤閉塞率は 70-77%で、大きな脳動脈瘤や頚部の広い脳動脈瘤では塞栓後の再開通率が高い難点があります。治療後も動脈瘤の再開通や増大があり得るので、長期にわたり追跡する必要があります。

どちらも治療による合併症は5%ぐらいで大差はなく、いずれの方法が良いかは、脳動脈瘤の位置、形や大きさにより判断されます。

くも膜下出血の予後・危険因子

重度障害が40%以上、死亡が30-40%、社会復帰が20-30%です。
危険因子として、喫煙、高血圧や一週間に150g以上の飲酒などがあり、痩せた高血圧の人や痩せた喫煙者が出血しやすいです。
また動脈瘤は喫煙や高血圧で増大し、大きいものほど出血しやすくなります。未破裂動脈瘤の治療は年齢と全身状態、動脈瘤の形や大きさ、部位、既往歴や家族歴などを考慮して決めます。治療しない場合は、生活習慣を正しくすることはもちろん、動脈瘤が大きくならないか経過観察をすることが重要です。

治療の選択はご家族とよく相談し、十分納得した上でご本人が決めるべきです。このために、複数の専門医の意見(セカンド オピニオン)を聞くこともよいでしょう。

「いつもと違う頭痛」を感じたら、ぜひ脳神経外科を受診して下さい。

めまい

「良性のめまい」と「悪性のめまい」があります。

めまいもよく経験される症状ですが、天井がくるくる回るめまいから、まるで揺れる船の上にでもいるようなめまいもあります。単に「年のせい」だけではありません。めまいを起こす原因にはいろいろあります。生命に危険を及ぼさない耳鼻科でよく扱われる良性発作性頭位変換性めまい症に代表される「良性のめまい」の他に、脳動脈硬化による慢性脳循環不全から、脳梗塞や脳出血、脳腫瘍など生命に危険を及ぼし得る「悪性のめまい」もあります。なかなか改善しないめまいを感じたらぜひ受診してください。

物忘れ(認知障害)

手術で治療可能な認知症である場合があります。

物忘れを起こす病気はいろいろあります。老化に伴って見られるアルツハイマー病に代表される神経変性疾患、脳梗塞や脳出血による血管性認知症などが代表的です。これら以外の原因による物忘れには、「いわゆる治療可能な認知症 (treatable dementia)」があります。代表的なものに正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、慢性脳循環不全や脳腫瘍などがあります。この他に甲状腺機能低下症、薬物、うつ病などでも認知症を来します。
脳神経外科で「物忘れ」を扱う理由は、「手術で治せる認知症」である正常圧水頭症、慢性硬膜下血腫、慢性脳循環不全や脳腫瘍などを見つけだして治療するためです。物忘れ以外に、会話がうまくできない、元気がなく、歩くのも不安定、尿失禁が見られるなどの症状がある場合には、ぜひ脳を調べてみましょう。

特発性正常圧水頭症

図3 特発性正常圧水頭症のMRI

認知症の5%は特発性正常圧水頭症によるものと言われ、日本では31万人が罹患していると推定されます(図3)。脳や脊髄はくも膜で被われ、脳脊髄液が循環しています。脳脊髄液は、脳の内部にある脳室という部屋で産生され、くも膜下腔を循環し、再び血管内に吸収されます。何らかの原因で、この脳脊髄液の循環吸収障害により余分に貯留した脳脊髄液のために脳室が拡大して、症状として歩行障害、認知症や尿失禁などを認める症候群が正常圧水頭症です。他の認知症を来たす多くの病気と違い、適切な治療が行われば、症状が改善する可能性が高いとされ、手術によって治る認知症の代表的な病気の一つです。

原因が特定できない特発性のものと原因が明らかな続発性のものとがあります。続発性正常圧水頭症の原因疾患には、くも膜下出血、頭部外傷、髄膜炎、脳出血などがあります。特発性正常圧水頭症は高齢者に見られ、認知症を主症状とする脳室拡大を伴うアルツハイマー病や脳血管性認知症などとの鑑別が困難なことが多く、また、特発性正常圧水頭症とこれらの疾患が合併することもあります。このため、どのような患者さんが治療により改善が期待できるかを選別することが難しく、正しく診断されることの少ない疾患です。典型的には、歩行の不安定さに加えて、意欲低下や動作緩慢、さらには尿失禁や認知症などが見られるようになります。はじめにみられる症状は歩行障害であり、パーキンソン病の歩行に似ています。

認知症が最初に見られることは少ないとされ、多くは歩行障害と同時に見られるか、歩行障害に続いて出現します。尿失禁は最も遅れて症状を出すことが多いようです。診断に最も簡便で有用な方法として、腰椎穿刺による髄液排除後に症状改善の有無をみる髄液排除試験(タップテスト)があります。数日以内に歩行障害が改善するか否かを観察するのがもっとも簡便確実です。髄液排除試験が陽性なら、手術による改善の可能性が高くなります(陽性予測値は94-100%)。

治療は、余分に貯留した脳脊髄液を、管を使って他の部位へ流す手術を行います。すなわち、脳室-腹腔短絡術(脳室穿刺による方法)や腰部くも膜下腔-腹腔短絡術(脳を傷つけない方法)により、“水の吸収をはかるためのバイパス”を作ります。これにより、64-90%の方で改善が期待できます。

近年では、脳を傷つけない「腰部くも膜下腔-腹腔短絡術」が普及しつつあります。実際に治療させていただいた患者様のご家族の体験談をご参考ください。「年のせいだと諦めないで」、少しでも疑わしい症状があったらぜひ受診してください。

慢性硬膜下血腫

図4 慢性硬膜下血腫-酔って転倒、
1カ月後に頭痛や麻痺が出現
(68歳男性、CT)

頭部の打撲により、2週から1か月して、しだいに硬膜と脳の間に血液(血腫)が貯留し、脳を圧迫することによって症状を生じる疾患です(図4)。多くは頭部打撲から1か月がたってから頭痛、吐きけが現れ、徐々に進行して片麻痺や意識障害をきたします。尿・便失禁が見られることもあり、何となくぼんやりして、意欲が低下しているなどの症状を呈して認知症症状が前面にでてくることもあります。

アルコール好きな男性に多くみられ、ときには頭部打撲がはっきりしないこともあります。局所麻酔下で、頭蓋骨に小さな穴を開けて、血腫を洗浄除去することで完治が期待できます。

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